1988年12月発行 ヒメタイコウチ, 142 pp., 文一総合出版 ----- 伴幸成, 柴田重昭, 石川雅宏

  • 筆者らは、愛知県立西尾高等学校生物クラブの先輩後輩の間柄で、ヒメタイコウチ(Nepa hoffmmanni)の生態研究を、生物クラブとして5年間(1969年~)、卒業後の9年間(1976年~)、合計14年間続けた。ヒメタイコウチが水に近い陸上に住み、31回の捕食の場面の遭遇では、捕食されている動物の6割が陸上動物であったことを発見した。研究中、様々な研究者と出会い、様々な研究上の基礎術を学ぶ中で、自発性が開花し、産卵、卵期、ふ化、発育、羽化、越冬、成熟、寿命など、疑問に感じたありとあらゆるヒメタイコウチの生態を明らかにした。時折登場する関係者らの人物模様が楽しみであり、タイムスリップをして、その場にいる臨場感を味わうことが出来た。対比として登場するヒメミズカマキリ(Ranatra unicolor)やヨーロッパのヒメタイコウチ(Nepa cinerea)の生態も興味深い。ヒメタイコウチの研究史も記載されており、貴重な一冊である。

    (紹介されている水辺の生物の生態)

    ・ヒメタイコウチ(昆虫綱半翅目タイコウチ科)
    ・タイコウチ(昆虫綱半翅目タイコウチ科)
    ・ミズカマキリ(昆虫綱半翅目タイコウチ科)
    ・ヒメミズカマキリ(昆虫綱半翅目タイコウチ科)
    ・ヨーロッパのヒメタイコウチ(昆虫綱半翅目タイコウチ科)